歯の病気は10割病

がんは3割病 歯の病気は10割病と言われています。がんやエイズは恐ろしいというが、とんでもない偏見ではないだろうか。そんなにこわい病気とは思えない。いったいどれだけの人がかかるのか。かかった人の数を調べるのは困難だが、死んだ人なら数えられる。たかが三割病のがんに比べたら、歯の病気のほうが、うんとスゴい。むし歯や歯槽膿漏(最近は歯だが、歯の病気は周病と呼ぶようになってきた)にやられることなく人生をまっとうできる人はまれである。かぜもそうだが、歯の病気は〝10割病″なのだ。3割病 よりも10割病のほうが大問題にきまっているではないか。歯の病気はがんよりも脅威である。

歯の病気で死ぬ人がいないことは一応、認める。しかし、人間は必ず死ぬのだから、ある病気で死ぬことがあるかないかで病気のランクづけをすることは意味がない。死なない病気にかかったら永遠に死ななくてすむのなら死なない病気より死ぬ病気のほうがこわいが、死なない病気にかかっても、結局、 ほかの病気で死ぬのだ。いずれ必ず死ぬ人間にとっては、人生いかに生きるかのクオリティ・オブ・ライフのほうが、死ぬか生きるかの不毛の議論よりはるかに重要だ。少なくとも前向きでないだろうか。

日本の場合、歯科エイズはイギリスの比でない。もっともっと破滅的だ。歯科診療所は五五年から九六年までのあいだに約二・四倍に増えた。これだけ増えたのなら、むし歯の数はさぞかし減ったと思いたい。一人平均処置歯数(永久歯)は三本から八本弱へと増えた。処置歯とは歯医者 がむし歯を削ってセメントなどを詰めた歯のことだ。この結果は、歯医者が増えるとむし歯が増えて健全歯が減る。極論すれば、むし歯は歯医者がつくっ ていることを意味する。